メトトレキサートの用量引き上げ

10/1付の日経新聞の関節リウマチに関する記事がとてもわかりやすくまとまっていたのでリンク。

関節リウマチ治療、「痛み抑える」から「進行止める」へ

この記事の中に、現在上限が8mg/週と決まっているメトトレキサートの用量の引き上げが近々実現するという一文がありました。

メトトレキサートはがん治療にも使うため、使用をためらう人もいるが、関節炎を抑える効果はとても高く、欧米では標準的治療薬となっている。日本ではまだ一度に使える用量が少なく効果が出にくい場合がある。日本リウマチ学会などは用量を引き上げるよう厚生労働省に要望を出しており、今年度中にも実現する見通し。

ご存知の通り、8mg/週が上限とはいえ、多くの病院では8mg以上が処方され、容認されています。私も16mg/週を処方してもらっている。なんか不思議。

検索していたら、2001.12.03のこんな記事を発見。

慢性関節リウマチ(RA)に対するメトトレキサート(MTX)療法が、わが国で保険適用になったのは1999年だが、適用外使用の期間を含めると使用経験は10年近くに及ぶ。しかし、MTXが医療保険上でRAの治療法として正式に認められた反面、適応や用量の制限などが臨床の現状に合わず、かえって適切な治療を妨げているとの不満がリウマチ医の間に広がっている。第16回日本臨床リウマチ学会のスポンサードワークショップ「MTXの使用法」(共催:日本ワイスレダリー)では、週8mgという用量の上限に対する異論が続出、フロアも交え熱心な討論が行われた。
<中略>
MTXの効果の発現は、用量依存的に高くなることが知られている。8mg/週以下の投与量で症状改善が得られる患者も多いが、患者によって有効投与量が大きく異なることも事実。8mg/週という世界的な常識から離れた低用量の“しばり”に対し、用法用量の変更を求める動きが今後強まりそうだ。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/157869.html

2001年当時から8mg上限にたくさんの異議があったのに、改定に10年近くかかったことになる。副作用の問題があるので慎重になるのは仕方ないし、慎重じゃなければ困るのだけど、この10年の間にメトトレキサートの最大の効果を得られなかった患者さんがいると思うと、とても残念な気持ちになります。

さらに調べてみると、そもそもメトトレキサート(リウマトレックス)の承認は1989年、日本での承認は1999年。日本で服用できるようになるまでに10年かかっているわけで、最近話題のドラッグ・ラグの典型なのですね。(この記事の図がわかりやすい)

これも各国の制度の違いや効き目の人種差などがあるので、仕方の無い「ラグ」もあるのでしょうが、必要な薬がスムースに手に入るようになるといいなぁ。

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